中国企業の倒産法

はじめに

前回のブログでは、薄利を強いられる業界の企業の連鎖倒産が発生している事案について書いたが、今回は中国企業の倒産について再度定義を確認したい。

中国の倒産法(企業破産法)は2007年に施行され、企業の破産や再建に関する法的枠組みを提供している。この法律は、債権者の利益保護と企業の再生機会の確保を目的としており、以下の3つの主要な手続きを定めている:

1. 破産清算

2. 和解

3. 再建

特に再建手続きは、経営困難に陥った企業の再生を支援する重要な制度として注目されている。

 

2024年4月、第14期全国人民代表大会常務委員会第23回委員長会議において、6年越しで合意された企業破産法の初めての改正が、年間立法作業計画に組み込まれることが決定された。この改正は、中国の破産法制度がより成熟段階に入ることを示唆していると言える。

中国の破産審理業務の現状

2023年の統計によると、経済発展のレベルと相関して、破産案件は主に江蘇省、浙江省、広東省に集中する傾向がある。中国の裁判所は計2万9000件の破産案件を解決し、請求額は2兆3000億人民元(約3167億米ドル)に達した。このうち、1485件の再編・和解案件が最終的に解決され、762社の困窮企業が再建に成功し、11万8000人の労働者の雇用が確保されたと聞かれる。

法的手続きと私的整理

10年程前に与信管理セミナーに登壇していた頃は、中国の破産申請件数は1000件から多くとも2000件の間で推移していた。特に再建型のスキームが適応される申請が極めて少なく、多くの案件が清算を伴う破産であった為、その申請が進まなかったのが背景にあるとされる。当時においては、そのような法的手続きを踏まない事業整理は年間100万件を超えるとされ、景気悪化が叫ばれ出した3年前にはその数が400万件を超えるという記事も発表されていた

今後の展望

中国では小規模・零細企業の債務が急増している。2023年9月末の小規模・零細企業向け貸出残高は69兆元と、2015年末から46兆元増加している。この背景には、コロナ禍への対応や政府の貸出指導があるとされる。

この小規模・零細企業向け貸出の急増は、2015年から2020年に急増した不動産向け貸出を彷彿させ、巨額の債務が焦げ付くリスクが懸念されている。今後、中国経済の新しいリスクとして注視する必要がありそうだ。

今後の対策

中国に限定される話ではないが、やはり企業との取引においては、倒産リスクを常に意識し、適切な管理を行うことが不可欠と言える。法的破産の申請件数は確かに増加しているものの、それを伴わない私的整理の数は公的な集計がないものの400万件を超えるとされる。従って、日本企業との取引によって不良債権を被る確率よりも、その可能性が高いと言え、そうした背景から「特に中国は」と語らざるを得ない。

教科書的には、取引前の与信判断を適正に行う事は大前提であり、加えて契約書に倒産時の責任所在を明示する事等の対応が必須である。取引開始後には、当該企業に関連した経営上の変動情報を有効的にキャッチする必要があり、営業職が定期的に訪問したり、クレディセイフのような信用調査会社のモニタリングサービスを活用するのが良い。

絶対数が多い事を念頭に「この取引先は大丈夫か?」という視点を常に持つことと、最新の情報を効果的に収集する事。その情報に基づいて取引開始時に行った信用判断をレビューするサイクルを回すことにより、自社の利益を守る与信管理体制を構築して頂きたい。

クレディセイフでは、与信管理から企業のモニタリング・コンプライアンスチェック・マーケティングリスト作成まで、これ1つで可能です。

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