取引信用保険を活用したリスク管理

企業間取引における信用リスクを保全する代表的な手段として取引信用保険が挙げられるが、保険に対する知識不足やコストがネックになっているという話を聞かされる。今回は、取引信用保険のブローカーを上手く活用することで、リスクを包括的にカバーできたり、コストを大幅に削減できた事例を紹介したい。

保険仲立人(保険ブローカー)とは、保険会社から独立した存在として保険契約の締結媒介を行う会社のこと。リスク分析などにより見出した顧客ニーズに合致する保険の設計や提案を行い、複数の保険会社と交渉して、顧客の利益を最大化できる保険商品を調達してくれる。欧米では古くから、保険ブローカー(Insurance broker)が保険流通機能の一角を担っており、特に企業分野の保険や再保険の取引では中心的な役割を担っている。

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事例1:食品関連企業(年商80億円)

この会社では200社の取引先の一部を保証型のファクタリングでカバー。年間のコストは800万円だった。ところが、ファクタリングをかけていない取引先で与信事故が発生し、包括的なリスク管理の必要性に迫られていた。そこで、取引信用保険を導入することで全取引先をカバー。1000万円以下の少額与信先には無記名自動補償枠を設定し、それ以上の取引先には保険会社の承認額を自社与信額として設定。その結果、これまでと同じ年間800万円のコストで、全取引先および新規取引先の与信リスクを包括的にヘッジすることに成功できた。

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事例2:化学関連企業(年商200億円)

この会社では、国内取引には取引信用保険を、輸出取引にはL/Cを利用し、年間コスト1500万円をかけていた。コスト削減とL/C手続きの煩雑さが課題だった。そこで、国内取引と輸出取引を1つの取引信用保険契約にまとめ、輸出取引先とのL/C取引をオープンアカウントに切り替えた。その結果、年間数百万円以上のコスト削減を実現し、L/C手続きの煩雑さも解消された。

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事例3:鉄鋼商社

この会社は100億円規模の債権流動化を希望していたが、債務者の信用度の問題で銀行との交渉が難航していた。そこで、取引信用保険を活用することで、債務者の信用リスクを補完し、銀行と債権譲渡契約締結に成功。その結果、保険費用を含めて年率1%以下という低コストで債権流動化を実現できた。

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まとめ

保険のブローカーを活用する最大のメリットは、保険会社ではなく、顧客側に立って提案してくれることである。ブローカーは保険商品を熟知し、複数の保険会社との関係性も構築している。単独の保険会社では実現しにくいが、顧客ニーズに合致した提案を行ってくれるのだ。事例1が良い例である。顧客としては同じコストで全取引先がカバーされる方が圧倒的に魅力である。また、事例2のように、国内外の取引を一本化することで、L/Cからオープンアカウントに切り替えることができたのも好例だ。コスト削減効果もさることながら、L/Cの取り扱いの業務負担からの解放も大きい。また、決済条件をオープンアカウントにすることで、今後の取引先の裾野拡大にも効果的だ。

今回の事例はすべて、取引信用保険に特化した保険ブローカーであるクレジットヒルズが扱った案件である。20社までは無料で見積もりとポートフォリオ分析を行ってくれるので、自社の取引先の信用度を知る意味でも利用してみると良いだろう。詳細は下記を参照いただきたい。

クレジットヒルズ株式会社

https://www.credit-hills.com/