2024年9月、大手保険ブローカーであるMarsh社主催のセミナーが開催され、私はパネリストとして参加しました。テーマは与信管理を含むリスク管理で、特に香港企業の情報収集やメインチャイナ企業との関係性についてお話ししました。参加者の多くは、香港企業に関する情報収集や取引先の倒産時の対応策に強い関心を抱いていました。そこで、今回は香港企業の倒産についてまとめます。
香港の倒産法は、主に任意清算と強制清算の2つを規定しており、債権者寄りの制度です。しかし、企業再建に必要な猶予期間や企業救済制度が欠如しており、財務困難に陥った企業の再建は困難です。
【手続き】 |
【説明】 |
強制清算 (Compulsory Liquidation) : |
裁判所命令による清算。債権者が申立て、裁判所が解散命令を出すと破産管財人の管理下で清算が行われます。 |
任意清算 (Voluntary Liquidation) : |
裁判所を介さない清算。株主や債権者による任意清算、特別手続きが含まれます。 |
香港の裁判所は地元企業や一定条件を満たす外国企業の清算が可能ですが、債務再編の有効な手段は提供していません。そのため、財務困難な企業は、法的戦略を模索する必要があります。
2024年1月から3月の間に21,983社が抹消登記を行い、前年同期比70%以上の増加となっています。この背景には、新型コロナウイルスからの回復過程で多くの中小企業が経営難に陥っていることがあります。公式データによれば、2024年の最初の8ヶ月で305社が清算され、特に8月は過去最多の51社が破産宣告を受けました。
香港経済は需要減少、借入コストの上昇、米中関係の緊張といった複雑な地政学的状況に直面しており、これらの要因が企業の倒産増加に影響しています。企業支援策の強化が今後の課題となるでしょう。
倒産件数の増加に伴い、与信管理の重要性が一層高まっています。与信管理は、取引先の信用状態を評価し、適切な与信限度額を設定することで、債権回収リスクを最小限に抑える活動です。
【与信管理の効果】
中小企業の経営悪化や地政学的リスクを考慮し、取引先の信用力を慎重に評価し、適切な対策を講じる必要があります。信頼できる外部データを活用し、包括的なリスク分析が求められます。
香港の企業倒産法には再建型の手続きが不足しており、今後の法改正が必要です。また、企業は取引先の信用調査や与信管理を強化し、経済環境の変化に柔軟に対応する戦略を立てる必要があります。さらに、政府は中小企業支援策の強化や、効果的な企業再生制度の導入を検討するべきでしょう。
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