さて前回記事(中国企業との付き合い方、信用調査報告書の活用法)では、「中国アドバンスレポート」に記載される2種類の評価について説明しました。
そのうち、ローカルスコアに関する各情報項目のウェイトについては説明の通りですが、もう少し具体的に分析の観点をご紹介します。
さて前回記事(中国企業との付き合い方、信用調査報告書の活用法)では、「中国アドバンスレポート」に記載される2種類の評価について説明しました。
そのうち、ローカルスコアに関する各情報項目のウェイトについては説明の通りですが、もう少し具体的に分析の観点をご紹介します。
中国江西省にある刃物製造業者は、2014年3月に自然人(民間人)2名によって設立された企業です。
売上規模1,400万元と規模は小体の域を脱しないレベルといえる企業で、ローカルスコアは通常よりもリスクが高いという格付けが付与されました。
この企業に対する、分析コメントは以下のとおりです。
対象企業は2014年に設立、主に刃、眉剃りの生産販売に従事している。6年間の発展を経て、一定な業界経験と顧客基盤を積み重ねた。対象会社は二人の自然人より投資される有限責任会社で、融資能力とリスクの抵抗力が比較的に弱い。財務データによると、対象会社の営業収入は2019年同期を7.21%下回った。しかし、2019年の純利益率は悪く、収益力は弱い。貸借対照表によると、資産規模は中程度である。2019年の負債比率は大きく、債務を持ち上げる空間が小さく、債務の返済圧力は大きい。2019年の報告期間内に資産利益率は悪い。対象会社は滞納記録がない。しかし、対象会社は2020年に偽登録商標罪を言い渡された。以上に鑑みて、対象会社の全体的な経営リスク水準は普通より高い。与信限度額: 3,000米ドル
日本企業の信用調査でも重視されるように、中国企業の分析に際しても資本背景に着目されています。
何事も例外はありますが、概して法人による出資を得た企業の方が、個人出資を受けている事業体よりも安定性が高いという評価になります。
やはり業歴も鍵といえ、前回少し触れたとおり新興ベンチャーよりは業歴5年、10年、20年を数える企業の方が、その経営実績がプラス評価される傾向があります。
財務面においては、業界基準値との対比による売上規模、利益率の優劣が分析され、資金調達余力なども測られています。
ただ、今回のエッセンスは偽登録商標罪(まがい物の取り扱い)による罰則であり、この点にも触れられている事がレポート全体の信憑性を高めています。
クレディセイフも、これらの情報をもとにインターナショナルスコアを算出しており、結果この企業に対してはD評価。
高いリスクとの結論に至りました。
今回は、評価に対する文章説明をみていただきましたが、「中国アドバンスレポート」は、自社格付けを行うのにも役立つ情報が満載です。
次回以降、個別項目の読み解き方に触れていければと思います。
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