一部脱線しながら書き上げてきたこのブログも、とうとうまとめ編になります。
課題提示としては、中国企業情報レポート(信用調査報告書)をどう活用するのかという点と、決算書を中心とした社内格付けから脱するにはどうしたらよいのか、という2点です。
社内格付けに落とし込むというプロセスは、そもそも中国企業情報レポートの活用法の一部であり、それをなぞる事によってヒントが見えてくると思い、まとめて参りました。
一部脱線しながら書き上げてきたこのブログも、とうとうまとめ編になります。
課題提示としては、中国企業情報レポート(信用調査報告書)をどう活用するのかという点と、決算書を中心とした社内格付けから脱するにはどうしたらよいのか、という2点です。
社内格付けに落とし込むというプロセスは、そもそも中国企業情報レポートの活用法の一部であり、それをなぞる事によってヒントが見えてくると思い、まとめて参りました。
「中国アドバンスレポート」の特徴の一つは、文章によりレポートのエッセンス(結論)が説明される点です。
業歴、資本背景、業績数値から対象企業のリスク状況について、分析しています。
中国企業の決算書については、入手が容易な状況から、概要数値以外の掌握が難しい環境に変化しています。
そもそも、その信憑性について疑問符が付く事例が多く、参考値といえます。
内部留保の状況については、利益額の蓄積の改ざんは複数期の決算に影響が及ぶため、比較的実数に近いと期待できそうです。
やや案分してみる事が肝要となります。
多くの企業形態では、株主責任は出資金の範囲です。
ではその出資金(資本金)がどのくらいの規模なのか、絶対値と相対値でみる必要があります。
求められる最低資本金に近い企業ほど、コミットメントが低いと言え、1,000万円をゆうに超える規模であれば、それなりに払い込まれていると判断できます。
出資背景は、個人より法人の方が安定性は高いと言えますが、その法人が個人によって出資されている場合は、結局その個人の懐具合に資金余力が影響される事になります。
また、軍事産業や政府出資企業による「コンプライアンスリスク」も確認する事が望ましいです。
労使紛争がレポートに報告されても、その件数・鮮度によっては大きな懸念は不要です。
最近になって急激に増えている場合は、経営の継続性に影響が出ている事が想定されます。
レポートでは「被執行」と報告されますが、賠償金の支払命令があった場合、その金額に注目する事が重要です。
他方、その履歴が5年、10年前と古いものであった場合、現在の経営に対する影響は軽微とみるべきです。
ブログ中に個別言及はしませんでしたが、基本である商流分析は必須事項です。
「中国アドバンスレポート」には、その企業の業種が報告されてきます。
たとえば、メーカーであるならば工場所在地が報告されているか確認が必要ですし、仕入先の中に原材料供給業者がいるか、あるいはファブレスメーカーであればアウトソース先がないといけません。
販売先では、別のメーカーなのか商社なのかによって、メーカーとしての位置付けを類推する事につながります。
あげられている業種とこの商流に相関性がみられない場合、社会的良識に反する企業であるリスクも念頭に置かなければなりません。
また「中国アドバンスレポート」には、税関による評価や、納税者評価も付与されています。
難しい書籍を読まなくとも、これらの評価に関する読み方は、インターネット上に多く掲載されています。
これまで述べてきた各項目は、単独で読み込んでもあまり意味がありません。
各項目に対する重きの置き方は、色々な判断があるかもしれません。
ただやはり、決算書がどれだけ立派でも、商流に疑わしさがあったり、訴訟履歴に不良な記録があったり、UBO(実質的支配者)が軍人だったりした場合、取引先としてプラス評価できるでしょうか。
レポートに掲載されている情報一つ一つには、意味があります。
なぜこのページにこの内容が報告されているのか、その意味を理解しながら、複合的に読み取り、自社の与信判断にお役立ていただければ幸いです。
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