いつまで続く米国の倒産増

以前のメルマガで、米国の企業倒産件数の増加傾向が強まっていると書いた。2024年になっても、この傾向は続いている。2024年3月末時点での直近12か月の米国企業の法的倒産件数は下記の通りとなった。カッコ内は2023年3月末の数字である。

 

Chapter 7                           10,845 (8,131)

Chapter11                         7,671 (3,855)

Chapter13                         1,426 (860)

その他                               374(314)

合計                                   20,316 (14,467)

倒産件数は前年に比べると、40%も増加した。12月末時点でも同様に4割の増加だったので、米国の倒産増加傾向は変わらないということになる。

 

最も件数の多いChapter7は33%増だが、Chapter11にいたっては55%増なので、5割以上の増加だ。なお、Chapter7は米国の清算型の倒産手続きで日本の破産に相当する。Chapter11は再生型の倒産手続きで日本の民事再生法に相当する。また、12か月間の倒産件数が2万件を超えたのも2021年以来、3年ぶりである。

 

ご存じのように、米国はコロナ渦にあって世界最大規模、約200兆円にも上る未曽有の財政出動を行った。これにより、米国の企業も個人も小規模のコロナバブルが発生したといえる。

 

このバブルはモノの値段に影響を与え、急激なインフレにつながった。インフレを抑え込むべく、FRB(米国連邦準備制度理事会)は先進国に先駆けて、2022年3月、利下げを実施した。その後も数回利上げを行い、米国の政策金利は5.5%となっている。

 

現在、世界の市場の関心は利下げが年内に行われるかどうかに注がれている。一方、日本では3月に、ようやくマイナス金利政策解除を決めたが、円安基調は変わらないどころか、弾みがついたかのような印象も受ける。為替の影響だけではないが、2月に34年ぶりに日経平均株価を更新したことで盛り上がった株式市場も、現在は低迷している。

 

米国は金融政策の難しさに加えて、秋に大統領選を控えている。再選を目指すバイデン大統領とトランプ前大統領の戦いは日を追うごとに白熱している。こうした中、5月30日、NY州地裁の陪審団は不倫口止め料の支払いをめぐる裁判で、トランプ氏に対し、有罪の評決を下した。

 

米国の大統領経験者が刑事裁判で有罪とされたのは初めて。日本の感覚だと、首相候補が不倫の刑事裁判で有罪となると、間違いなく不出馬となる。ところが、米国ではトランプ側は弁明はおろか、裁判は政治的な意図が働いていると強く非難。トランプ支持者は逆に結束を固める結果となった。

 

今の段階でどちらが、大統領になるかは判断がつかないが、どちらが大統領になるにせよ、前回のような選挙をめぐる混乱が起こる可能性がある。倒産の行方は大統領選というよりは、FRBの政策の影響を大きく受けるはずで、7月以降のFOMC(連邦公開市場委員会)での議論を注視したい。

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