知らなかったでは済まされない、規制により輸出が禁じられている製品や技術
輸出しようとする製品や技術が外為法で規制されている場合、経済産業大臣の許可が必要になることや、輸出そのものができない場合もある。
外為法による主な規制は次の2つ。
(1)リスト規制
- 武器(鉄砲、火薬類、軍用車両)
- 原子力(数値制御工作機械、炭素繊維、周波数変換機、真空ポンプ、直流電源装置、測定装置)
- 化学兵器、生物兵器(弁、ポンプ、バルブ、毒性物質の原料、クロスフロー濾過機、凍結乾燥器、密閉式発酵槽)
- ミサイル(人造黒鉛、二軸式混合機、アルミニウム粉、ジェットミル、加速度計、振動試験装置)
- 先端材料(炭素繊維成型品、ニッケル・チタン合金)
- 材料加工(軸受、ロボット)
- エレクトロニクス(コンピューター、集積回路、半導体製造装置)
- 通信関連(光ファイバー、暗号装置)
- センサー、レーザー(レーダー、赤外線カメラ)
- その他(水中カメラのような航法・海洋推進装置の関連資材など)
(2)大量破壊兵器キャッチオール規制、通常兵器補完的輸出規制
リスト規制対象外の製品や技術であっても、大量破壊兵器の開発などに利用されるおそれがあれば、やはり許可が必要になる。
また、取引の相手先やエンドユーザーが、大量破壊兵器の開発などを行っている、あるいは過去に行ったことがあれば、同じく許可が必要になる。
具体的には、経済産業省のホームページに掲載されている「外国ユーザーリスト」を参照して、該当の有無を調べる。
▼安全保障貿易(経済産業省)
http://www.meti.go.jp/policy/anpo/index.html
また、平成22年4月1日から、新たなルールとして「輸出者等遵守基準」がスタートした。
継続的に輸出を行う輸出者が遵守すべき事項を経済産業大臣が定め、その基準に従って輸出や技術提供を行うことを輸出者等に求める仕組み。
近年の外為法違反に加え、物の輸出や技術の提供に関してデータを改ざんするなどの不正な行為が発生していることを背景に、違法な輸出・技術提供の未然防止のために導入された。
こうした外為法違反に関しては罰則も規定されているため、最大限の注意が必要だ。知らなかったでは済まされない。
- 刑事罰:1,000万円以下の罰金、10年以下の懲役
- 行政制裁:3年以内の輸出・技術提供の禁止
ほとんどの企業には関係ないと思うが、関税法でその輸出が禁止されている物品もある。禁止されているものを輸出した場合には、関税法等で処罰されることとなる。
- 麻薬、向精神薬、大麻、あへん、けしがら、覚せい剤
- 児童ポルノ
- 特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権、著作隣接権、育成者権を侵害する物品
- (知的財産侵害物品)不正競争防止法第2条第1項第1号から第3号までに掲げる行為を組成する物品
※出典: ナレッジマネジメントジャパン株式会社 ウェブサイト(牧野和彦著)