情報の性質を見極めて与信判断をしよう
信用調査会社の提供する情報は、性質上4種類に大別できます。
ここで注意が必要なのは、信用調査会社の報告書にはこの区別が必ずしも明記されていないということです。
与信判断を下す際には、情報の性質を見極める必要があります。
1. 公開情報
企業がウェブサイトで公表、あるいは法律や規制などにより公開した情報のことです。
売上高や従業員数などの企業概要をはじめ、取締役名や事業内容が記載された商業登記簿情報、所有不動産が自己所有か他己所有かを明記した不動産登記簿情報、訴訟情報、新聞発表の記事、決算公告、有価証券報告書などです。
2. 客観情報
公開はされていないものの客観的な情報です。銀行からの情報、手形の不渡り情報、支払情報、業種団体や協会の情報などがこれにあたります。
過去、信用調査会社は金融機関の融資課(現在の法人営業課)からの情報を入手していましたが、情報管理の厳格化から、近日では入手することは難しくなりました。
代替として有力なのは既存取引先の情報です。支払振りはもちろん、担当者が代わった、などの些細な情報も、貴重な客観情報となります。
3. 分析情報
公開情報をもとに信用調査会社が独自に分析した情報です。格付け、評点、スコアリング、倒産確率などがこれに当たります。
信用調査会社では調査員が指定フォーマットに沿って採点した評点をメインに運用しており、当社では企業情報や財務情報をベースに当該企業が向こう1年間に倒産する確率を表したスコア(格付)を運用しています。スコア(格付)は恣意性を排除した客観的な指標となっています。
4. 主観情報
主に定性情報に関して、信用調査会社の調査担当者の主観にもとづく報告です。
経営者の人柄、会社の雰囲気、推定売上などがこれに当たります。
信用調査会社は中立・客観的立場から当該企業を調査するため、それまで持っているイメージと異なる側面を発見することができます。例えば、取材を通じて相手がポジティブな回答をするか否か、ということも貴重な情報となります。
※出典:「eビジネスのリスクマネジメント」(牧野和彦著、エクスメディア刊)