最悪のケースを想定して最善に努める
訴訟を起こす場合には様々な要因を多方面から検討する必要がある。
とくに、訴訟提起から回収までの大まかな流れを確認し、最善と最悪のケースを想定し、それぞれのケースの費用、手間、時間を比較検討することが大切である。
欧米では Paralegal Action (パラリーガルアクション)と呼ばれる弁護士のサービスがある。
訴訟を起こす前の段階で、弁護士が第三者として介入し債権の回収を図るものだ。
具体的には弁護士が督促をしたり、和解のための交渉をしたりすることになる。
この段階で成功裏に回収できれば回収金額に応じた成功報酬を支払うことになる。
また 、Feasibility Study (予備調査)と呼ばれる訴訟等の法的手段による回収の可能性についての事前調査を有料で依頼することもでき、専門家の見解を知ることができる。
予備調査で勝訴の可能性はもちろん、債務者の資産調査も行う弁護土もいて、強制執行に供する資産の有無までわかる場合もある。
実際に訴訟に踏み切る場合は、債務者が破産法を申請する可能性や、担保債権者や大口の国内仕入先の動向も確認する。
国や、州の法律により異なるが、破産法を申請されると債権者単独での回収は難しくなり、破産手続における配当を待つことになる。
※出典:「海外取引の与信管理と債権回収」(牧野和彦著、税務経理協会刊)