コレクション・エージェンシーは友好的な回収手段
ここで言うアウトソーシングとは、 回収業務そのもののアウトソーシングで、請求書を発行した全売掛金に関して入金まで一貫して管理するという業務である。
ある意味で、債権者の社名による回収の一部ともいえるが、違いは管理するのが売掛金すべてというところである。
つまり、遅延していない正常な債権も含まれることになる。
コレクション・エージェンシーは、アウトソーシング業務を受託すると、非常に大量の債権回収を行うことになるので、情報システムに莫大な投資が必要になる。
関連書類を読み込むスキャナー、電話の督促をサポートするCTI、アラーム機能付のスケジューラー、督促状を遅延期間に応じて発行するソフトウェアなど、コレクション・エージェンシーの回収効率を高める様々なシステムやソフトが開発されている。
コレクション・エージェンシーを利用する企業の中には、遅延期間が3か月を超える売掛金はすべて回収代行を依頼するという方針をもっているところも多い。
遅延期間が3か月経過すると平均的な回収率は70%を切り、時間の経過に伴い回収率はどんどん低下する。
回収が困難な3か月超の遅延債権に、社内の人材の貴重で高コストな時間と労力を費やすよりも、手数料を支払ってでも専門家に回収してもらった方が、効率は良いと考えるからだ。
コレ クション・エージェンシーは 、Amicable Phase (友好的局面)といって、友好的な回収手段の一つとして考えられている。
よって、訴訟や法的な手続による回収であるLegal Phase (法律的局面)に移行する前に利用するのが一般的である。
しかし、コレクション・エージェンシーによる回収が日常茶飯事の米国であってさえも、コレクション・エージェンシーに回収代行を依頼した後に、 取引先との関係が悪化するケースはある。
ほとんどのコレクション・エージェンシーでは、ワンストップサービスを掲げて、訴訟や法的な手続が必要な場合は、提携先の弁護士を紹介している。
日本では、弁護士の紹介を有料で行うことはできないが、欧米にはそうした法規制はない。
また、債権回収を専門とする弁護土も多数存在する。
日本と違い、債権回収を成功報酬のみで引き受ける意欲的な弁護士も多い。
※出典:「海外取引の与信管理と債権回収」(牧野和彦著、税務経理協会刊)