※出典:「海外取引でよく使われる与信管理の英語」(牧野和彦著、IBCパブリッシング刊)
ウィーン売買条約の正式名称は「国際物品売買契約に関する国連条約(United Nations Convention on Contracts for the International Sale of Goods: CISG)」。CISGやVienna Conventionとも呼ばれる。
本条約は、国際取引の促進を目的に、国連国際商取引法委員会(UNCITRAL)が起草し、1980年4月のウィーン外交会議において採択、1988年1月1日に発効した。2013年現在で80カ国が批准しており、日本では2009年8月1日より発効している。
L/C(信用状)とは、荷為替取引における銀行が行う一種の支払保証である。buyer(買主)の信用を銀行が補完するもので、買主の信用リスクが高い場合などに、決済条件として使われる。買主はL/Cを開設するためには、ある程度の信用力が必要であり、当然銀行はL/Cの発行に際し買主の審査を行う。
L/C(信用状)は、銀行が行う支払保証である。L/Cの記載と書類の内容が合致していれば、銀行が輸出者と輸入者の間に介在し、代金を回収してくれる。そのためL/Cの開設銀行は、L/Cを開設する輸入者の信用リスクを審査している。ところが、開設銀行自体の信用リスクは担保されていない。格付けの高い、国際的に信用度の高い銀行がL/Cの支払いを確約したものを、confirmed L/C(確認信用状)と呼ぶ。
air waybill(航空運送状)は空路輸送における海上輸送B/Lのような役割を果たす。航空会社から発行される貨物の受領証であり、航空会社と荷主の間の運送契約書でもある。consignment noteとも呼ばれる。B/Lとの大きな違いは有価証券ではないという点だ。
一般的に契約の成立は、買主からのoffer(申し込み)に対する売主のacceptance(受諾)があって成立する。正式な契約書がなくても、発注書と請求書があれば、契約の存在を証明することはできる。もちろん契約書が存在する取引に比べると、証拠力は弱いと言わざるを得ない。そこで、基本契約書を締結した上で、日常の取引は発注書と請求書だけで済ませるのが理想的である。
輸出者がL/C(信用状)取引において銀行に差し入れる保証状。L/C取引で、買取書類とL/Cの内容にdiscrepancy(不一致)がある場合に、銀行に手形を買い取ってもらうために、輸出者が銀行に差し入れる念書のこと。万が一、手形が不渡りになった場合、輸出者が銀行から手形を買い戻すことになる。L/Gネゴともいう。
スタンドバイL/Cはbuyer(買主)が、支払遅延や支払不能に陥った場合に、seller(売主)からの要請により銀行が支払いを保証する信用状。通常のL/Cと違い、取引限度額と有効期間を定め、その範囲内の取引は常に保全されることになる。都度、L/Cを開設する必要はなく、L/Cの利用回数や手数料にもよるが、利用回数が多い企業ほど、スタンドバイL/Cに変更することで開設費用は削減できることが多い。
B/L(船荷証券)はL/C(信用状)取引において重要な書類で、seller(売主)がnegotiating bank(買取銀行)にbill of exchange(為替手形)の買い取りを求めるときに提出する書類のことである。
bill of lading /(船荷証券)には、shipped B/L(積荷船荷証券)とreceived B/L(受取船荷証券)がある。船荷証券の記載が前者はshippedで始まり、後者はreceivedで始まっている。
船会社が貨物を積み込む際、積荷の数量、梱包、状態が不完全な場合、remarks(備考)やnotations(注記)を船荷証券に記載することがあり、foul B/L(故障付船荷証券)という。対して、こうした記載がない船荷証券をclean B/L(無故障船荷証券)と呼ぶ。
D/A(手形引受書類渡し)は、輸入者が手形を引き受けることで、船積書類を受け取り、貨物を引き取ることができる決済条件である。手形のacceptance(引き受け)とは、期日に支払うことを約束し、手形に署名することである。つまり、D/A決済では、輸入者は代金決済せずに、先に貨物を入手することができる。
ファクタリングは、海外取引の代表的な債権保全策である。日本では、メガバンクが子会社でファクタリングを手がけており、銀行のサービスとしても提供している。ファクタリングには、買取型と保証型がある。買取型では、ファクタリング会社が、claimant(債権者)からaccounts receivable(売掛金)を買い取る。これに対し、後者は、debtor(債務者)が支払いを遅延した場合に、債権者に対して支払いを保証してくれる。
サレンダードB/Lは、送金取引などで使われる手法である。元地回収B/Lとも呼ばれる。アジア諸国など近海の取引では、船荷証券よりも、貨物が先に到着することがある。このような場合に、輸出者が船荷証券に裏書きをして、船会社にsurrender(返却する)ことで、仕向港で、輸入者は船荷証券の原本を提示せずに貨物を引き取ることができる。
bill of exchange(為替手形)とは、claimant(債権者)がdebtor(債務者)に対して支払いを求めて振り出す手形である。draftとも呼ばれる。債務者が支払いを約束して債権者に振り出す約束手形とは違い、主に貿易などの海外取引で使われる。つまり貿易において為替手形を作成して、振り出すのは輸出者になる。為替手形に船積書類を加えたものを荷為替手形と呼ぶ。
D/P(手形支払書類渡し)は、輸入者が支払うことで、船積書類を受け取り、貨物を引き取ることができる決済条件である。通常は、D/P at sightなどと記載され、at sight(一覧払い)である。遠隔地から輸入する場合は、usance(ユーザンス、支払期限)を付けることもある。
Incoterms(インコタームズ)は、International Commercial Termsの略称である。1936年にパリで制定されたInternational Rules for the Interpretation of Trade Terms(貿易条件の解釈に関する国際規制)が改正を重ねて、現在のIncoterms2010となった。
CFR(運賃込)は以前、C&Fと呼ばれていた。CFRとFOBの違いは、freight(運賃)負担にある。FOBでは、本船渡なので、船積みする港までの輸送費用は売主が負担する。CFRでは、目的地となる仕向港まで、輸送手段を売主が手配し、運賃も負担する。
certificate of origin(原産地証明書)には大きく2種類ある。原産地証明書とpreferential certificate of origin(特定原産地証明書)である。一般の原産地証明書は、取引相手国の法規制や取引先の契約条件によって取得を義務づけられるもの。日本では東京商工会議所などの各商工会議所で取得することができる。
船積依頼書は輸出者が作成し、国際輸送業者や船会社に提出する書類である。S/Iと省略されることもある。commercial invoice(商業送り状)、packing list(梱包明細書)と並び、通関時の重要な書類となっている。国際輸送業者が自社の書式を指定することもある。
FOB(本船渡)は、貨物の危険負担が船の上に置かれたときに買主に移動する貿易条件。インコタームズ2000では、危険負担のタイミングは、貨物がship's rail(船の手すり)を通貨したときだったが、on board(本船の上)に変更された。
荷物を送る企業や人をconsignor(荷送人)といい、consignerとも書く。shipper、senderともいう。通常、seller(売主)やexporter(輸出者)であることが多い。
梱包明細書は輸出者が作成し、国際輸送業者や船会社に提出する書類である。bill of parcel、unpacking note、unpacking slip、shipping listなどとも呼ばれる。
arrival notice(貨物到着案内)とは、文字通り、貨物の到着を知らせるための書類である。notice of arrivalともいう。通常、到着の数日前にcarrier(運送人)や代理店からconsignee(荷受人)とnotify party(着荷通知先)に送られる。天候や運航状況によって、実際の到着日が変更されることもある。また、貿易条件によっては、貨物到着案内は運賃や港湾での貨物取扱費用の請求書を兼ねていることもある。
freight forwarder(国際輸送業者)は、日本では一般的に、国際輸送を手がける運送会社を指し、フォワーダーといわれることも多い。また、乙種海運仲立業を略した「乙仲」や海貨業者とも呼ばれる。英語では、carrier、forwarder、forwarding agentなどとも呼ばれる。貨物の輸送だけでなく、通関業務や倉庫業務も請け負っている。
Non-Vessel Operating Common Carrier / NVOCC(非船舶運航業者)とは、自らは船舶を保有せずに、貨物輸送を請け負う会社。ドアツードアで貨物を一貫して輸送する国際複合輸送も手掛ける。
船会社は、bill of lading(船荷証券)と引き換えに、荷受人に対してdelivery order(荷渡指図書)を発行する。荷受人はこれを提示することで、実際の貨物を引き取ることができる。D/O、デリバリー・オーダーとも呼ばれる。
International Air Transport Association(国際航空運送協会)は、省略形のIATAと記載されることが多く、「イアタ」と発音する。全世界60カ国、240社のairline(航空会社)が加盟している。この240社で全世界の空の交通量の84%を占めているといわれる。
※出典:「海外取引でよく使われる与信管理の英語」(牧野和彦著、IBCパブリッシング刊)
海外取引における与信管理や債権回収業務に頻出する英単語の意味を、その背景にある海外の商習慣や法規制にも触れながら解説しています。
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