コンプライアンス

実質的支配者(UBO)を特定する重要性

企業や法人がビジネスを行う上で、その背後には実際にその企業や法人をコントロールしている(実質的支配権を有する)人物や組織が存在します。この人物や組織を特定することは、マネーロンダリングやテロ資金調達などの犯罪活動を未然に防ぐためにも重要な手段となります。本記事では、UBOの定義やUBO特定の重要性について解説していきます。

実質的支配者(UBO)とは

実質的支配者は「UBO」とも呼ばれており、法人の事業経営を実質的に支配することが可能となる者と定義されています。

実質的支配者に誰が該当するかについては、事業形態や資本関係等により異なりますが、議決権総数のうち、25%を超える議決権を有するもの、または取締役会の過半数を解任する権利や事業活動時に支配的な絶対の影響力を有すると認められる者などを指します。

「犯罪による収益の移転防止に関する法律(犯罪収益移転防止法)」の改正に伴い、2016年10月1日以降、法人口座の開設時や取引責任者の変更時に、実質的支配者申告書にて「実質的支配者」を必ず申告する必要があります。

また、EUではthe Money Laundering and Terrorist Financing (Prevention) Act(マネーロンダリング・テロリスト金融防止法)に基づいて、銀行、弁護士、不動産業者、会計士などの特定の業界において、実質的支配者の確認としてUBOスクリーニングが必須となっています。

現在、企業はさまざまな犯罪行為と戦うために取引相手を理解することが求められています。

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実質的支配者(UBO)を特定する重要性

UBOサーチ

犯罪組織は、企業構造を複雑化することによって、法の網をくぐり抜け、マネーロンダリングなどの犯罪行為を行っています。

日本では「フロント企業」という言葉があり、表向きは一般的な企業ですが、裏では暴力団関係者が経営に関わっている企業が存在し、当該企業が暴力団への資金提供の協力を行っています。

このような企業との取引を回避するための手段として、実質的支配者を特定する、KYCチェックが重要なプロセスとなります。

Creditsafeがイギリスで実施した調査では、企業の約37%が前年度に詐欺の被害を受けていたことが明らかになりました。このような被害が日々増加し、大きな脅威となっていることから、犯罪行為に対する規制強化が図られています。

近年の規制強化にともないEUでは、第4次および第5次マネーローンダリング対策指令が働き始めました。金融機関や仮想通貨取引所と仮想通貨ウォレットを提供する会社は、身元確認など受益者を特定することを義務付けられるようになりました。

また、日本国内においても、2016年10月1日に「犯罪による収益の移転防止に関する法律(犯罪収益移転防止法)」の法改正があり、法人クレジットカードに申し込む際に実質的支配者の申告が必要になりました。

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実質的所有権を特定するたみに知っておくべきこと

実質的所有者(UBO)を特定するには、AML(アンチ・マネー・ロンダリング)プロセス、KYC(Know Your Customer)プロセスを行い、誰が利益を得るかを知ることが非常に重要です。

受益者をスクリーニングするために必要なデータソースは次の通りです。

  • 企業の所有構造
  • 株主および子会社
  • PEP(政治的影響力のある人物)リスト
  • 制裁リスト
  • 同じグループ構造で、同じ最終所有者を持つ姉妹会社
  • 有益な所有権と知覚された所有権
  • その会社に関するニュースやメディア記事
UBO

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Creditsafeの実質的所有権チェック

クレディセイフのコンプライアンスチェック(プロテクト)では、ID検証、PEP&制裁チェック、AMLチェックを一括で実行し、実際のメディア情報から問題の会社に関するニュースや記事を提供すると共に、UBOを識別するプロセスを合理化できます。

欧州トップクラスのデータベースプロバイダーの情報と照合し、複数の法律や規則に対する適切なスクリーニングを行うことにより、手動時間を削減、人的エラーも削減することができます。

サービスはオンライン上で完結することができ、UBO情報がなかった場合にも検索結果をキャプチャ(印刷)、保管することでUBOチェックをしたという証拠にもなります。

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