守りの効果と攻めの効果
前章までで示したとおり、与信管理とは、「商取引上信用を与える=掛売りをし続けることができる相手かを把握する」ための業務であると言えます。
★ポイント
【与信管理で決定事項】
(1)守りの効果:不良債権の抑制、円滑な資金繰り
(2)攻めの効果:優良企業の選定、業容拡大
(1)守りの効果
与信管理を行うによって、厳しい経営状態の企業を見分け、不良債権の発生を抑制することができます。
これによって、売掛債権を順調に回収し、円滑な資金繰りを維持することができます。
(2)攻めの効果
与信管理によって、企業の経営状態を見分けることができるということは、経営状態が良い企業が分かる、ということでもあります。
与信管理を行うことによって、経営状態が安定している企業や近年の業績が好調に推移している企業を見分け、まだ取引がなければ新規開拓の営業を行う、既存取引先であれば取引額を拡大することによって、業容の拡大につながります。
安定した経営を行うには、商取引への慎重な判断をしながら資金繰りを維持していくことが大切です。
しかし、同じ領域のみにとどまっていると、市場の動向や強力なライバルの出現などの周辺環境に変化が発生した際に対応できないリスクがあります。
そのため、ときには新規の顧客や事業の開拓を積極的に行わなければ行けない局面もあります。
ただし、どのような局面であれ、適切な判断を下すには、多くの情報を入手して分析を行うことが基点です。
与信管理とは、営業展開において“守り”“攻め”の両面で不可欠であり、かつ非常に効果が高い業務なのです。