与信=信用を与える
1. 与信管理とは何か?
与信管理の“与信”は、「信用を与える」という意味の言葉です。
商取引では、その場でお金を回収する(即金回収)でなく、一定期間経過後に回収する、いわゆる掛売りが主体ですが、これは「相手に信用を与えているから、後日の回収を認めている」ことになります。
掛売りは、購入する側(以降、得意先)にとっては資金繰りを組み立てる時間的な猶予ができるため、購入の意思決定がしやすく商取引を円滑にしやすいメリットはあります。
しかし、販売した側にとっては、お金を回収するまでの間に何らかのアクシデントが発生して、販売代金=売掛債権を回収できないリスクがあります。このリスクを抑制するための業務が与信管理です。
2. 不良債権発生の原因
不良債権が発生する原因として、大きく二つの要因が挙げられます。
★ポイント
A.得意先の資金繰り悪化
B.悪意を持った得意先への販売
まずAは、何らかの要因により得意先の資金繰りが厳しくなり、支払ができない状態に陥ってしまったため、売掛債権が回収できなくなってしまうことです。
この場合、得意先が営業を行っているにも関わらず支払が行われないケースと、資金繰りが行き詰まって倒産してしまうケースがあります。
またBは、もともと売掛債権の支払を行う意思がないにも関わらず、取引をもちかけられたことを見抜けなかったケースです。
こうしたケースの代表的なケースに、取り込み詐欺(パクリ屋)と呼ばれる業者がいます。
繁忙期(年末、年度末)や長期休暇時(正月、お盆)に活発に活動するケースが多く、同じメンバーが繰り返し同様の手口で詐欺行為を行う傾向があります。
このうち、Bは初めて取引の要請があった場合に情報を収集して、取引を行わないことによって防ぐことができます。
そのため、与信管理の対象となる多くのケースは、Aの原因による不良債権の発生を抑制することです。