不良債権が起こす数字面と社内業務へのネガティブな影響
①業績面の影響
与信管理を行わなかった場合に発生する最も大きな影響は、“得意先が倒産して売掛債権を回収できなくなる”という事です。
その際に、どのくらいの影響が発生するのかを考えてみましょう。
①業績面の影響
与信管理を行わなかった場合に発生する最も大きな影響は、“得意先が倒産して売掛債権を回収できなくなる”という事です。
その際に、どのくらいの影響が発生するのかを考えてみましょう。
このケースの場合、不良債権の40倍もの売上高を確保しなければ、発生した影響をカバーできないことになります。
なぜ、ここまで影響が大きくなってしまうのでしょうか?
その理由として、「不良債権をカバーするには、同額の売上高を確保すれば良い」という考え違いがあります。
なぜなら、不良債権をカバーするには、その売上を得る際に投入した費用を加えて考える必要があるためです。
投入した費用とは、原価(仕入、製造に要した間接費用など)や経費(人件費、家賃、交通費、通信費、運送・保管費、支払利息など)です。
つまり、「不良債権となった売掛債権をカバーするには、不良債権額および同額の売上高を得るために必要な費用を加えた金額が必要である」ということになります。
次の計算式により、この考え方に不良債権をカバーするのに必要な売上高を算出することができます。
★ポイント
不良債権のカバーに必要な売上高=
不良債権額÷売上高経常利益率(経常利益/総売上高)
上記のCase Studyをこの計算式に当てはめると、2億円の売上高が必要になります。
つまり、不良債権の発生は、せっかく得た利益がなくなることと同じ意味なのです。
②業務面の影響
不良債権の発生後には様々な処理業務が発生します。
担当している部署や営業パーソンは回収や後始末に奔走し、財務・経理部門は突発的な経理処理や得られるはずだった資金がなくなったことによる資金の組み立てや調達に追われます。
後ろ向きな業務に忙殺されることで、精神的に大きな負担感を覚えてしまいます。
また、資金繰りが厳しい状態に陥れば、給与や賞与の削減をせざるを得ないこともあり得ます。
さらに、仕入先への支払が滞って対外的な信頼が失墜することにもなりかねません。
不良債権の発生は、営業担当者のみならず、様々な方面にネガティブな影響を与えます。こうしたネガティブな影響を抑制するために、与信管理は非常に重要な業務なのです。
変化の早い昨今では、営業担当者が取引先を見極める目を持つことが、貸し倒れを防ぐ最も有効な対策といえます。
そこで、営業担当者に必要な与信管理の視点を体系的にまとめました。ご自身の与信管理に対する理解確認や、研修教材としてご活用ください。
目次
1ヶ月に二度、与信管理に関するノウハウや国内外の商取引をスムーズにするための業界情報を発信いたします。
・プロによる海外取引の重要ポイント解説
・国内企業の信用調査からみえる気付き
・世界情勢のいま(国ごとに解説)
・無料セミナーのご案内