債務者の倒産
時間の経過とともに、なぜ遅延債権や滞留債権は回収しにくくなるのだろうか?
債務者が倒産するからである。
あなたの会社に対して支払いを遅延している債務者は、あなたの会社だけに支払いを遅延しているわけではない。
他の債権者にも支払いを遅延している。
こうした債務者は、2年、3年も経過すると倒産することが多いのだ。
倒産した会社からの債権回収は困難を極める。
担保のない一般債権であれば、なおさらである。
だから、時間の経過とともに回収しにくくなるのだ。
これ以外にも、債権の優先順位が下がるという理由もある。
債務者は、意識的にせよ無意識にせよ、債権の優先順位を持っている。
まず、国内と海外では国内の債権者が優先される。
国内でも、銀行や大口の仕入先、従業員などへの支払いが優先される。
そして、時間も優先順位に影響を与える。
現在の債権と過去の債権では、現在の債権の優先順位が一般的に高くなる。
こうした意味では、取引が継続している方が債権回収をやりやすいといえる。
しかしリスク管理の観点からは、遅延債権の発生した取引先との信用取引は見合わせるべきである。
これはある意味、矛盾するが致し方ないことである。
いずれにせよ、海外の債権者でかつ、過去の取引先に対する優先順位はかなり低いと考えてよいだろう。