ここ数年で民間企業も続々参入
輸出取引信用保険と前回取り上げた貿易保険は、基本的に同じ保険である。
しかし日本では長らく貿易保険を政府(通産省、経済産業省)が独占事業として行ってきた。
そのため、民間が参入できたのは数年前。
政府が提供する貿易保険と区別する意味もあり、輸出取引信用保険と呼ばれる。
貿易保険との大きな違いは、包括保険が主体である点。
保険会社にもよるが、10社程度から保険をかける必要がある。
もちろん危ない会社だけを10社ピックアップすることはできない。
それでは保険が成立しないからだ。
任意ではないセグメントの10社ならOKである。
たとえば、化学品事業部の上海に立地する取引先10社だけという具合だ。
ある意味、このセグメントの切り方が保険を上手に活用するノウハウであるとも言える。
ただし近年では、顧客のニーズに応えるべく、個別で保険を引き受ける民間の保険会社も増えている。
一般的に保険料はこの10社に対する売上に対して、コンマ数パーセントというように算出されることが多い。
貿易保険と比べた場合の最大の利点は、契約や保険金受領に関わる手続の簡易さである。
無論、回収義務も保険会社が負うことになる。
また、保険金受領までにかかる時間も短い。
こうした両保険の特性を理解したうえで、自社の海外取引に合った保険をリスクの外部化の手段として活用するとよい。
★この内容をより詳しく知りたい方はこちらから⇒「海外取引に利用できる二つの保険とは~輸出取引信用保険~」
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