必ずしも勝訴=回収ではない
海外で訴訟を起こす場合に注意すべき点が2つある。
(1)資産の有無を調査する
(2)訴訟全体の時間と費用を見積もる
訴訟による債権回収を経験したことがない企業では、漠然と「勝訴=回収」と思っている傾向がある。
まずは、相手が控訴する可能性もある。
相手が控訴せずに確定判決となっても、回収できない事例は多い。
敗訴したことで、相手側が断念して和解を申し出たり、任意で支払いをしたりしない限りは、強制執行による回収を実現するしかない。
いざ、強制執行に着手しようとしてハタと気が付くのが、相手の資産の存在である。
強制執行する資産は債権者が指定しなくてはならない。その時になって、資産調査を始めているようでは遅い。
悪質な債務者が、訴えられた段階で、資産移転や隠しをしている可能性がある。
資産の所在を確認してから、訴訟の是非を決断しても遅くない。
また、訴訟にかかる費用と時間を見積もることも大切である。債権額によっては、費用倒れに終わる可能性も少なくないからだ。
こうした中で忘れてはならないのが、書類の翻訳、裁判における通訳費用である。
海外における訴訟でかなりの比重を占めるのが、翻訳・通訳費用であることは意外に知られていない。
こうした費用と手間を考慮すると、訴えない方がかえってよいという結論に落ち着くことも珍しくない。
★この内容をより詳しく知りたい方はこちらから⇒「訴訟による回収は一割以下~勝訴=回収ではない~」
※「海外取引のはじめかたとリスク管理」に移動します。