ウィーン売買条約
契約によるリスク管理を考える上では、「国際物品売買契約に関する条約(ウィーン売買条約)」をまず知っておく必要がある。
正式名称は「国際物品売買契約に関する国連条約(United Nations Convention on Contracts for the International Sale of Goods: CISG)」
▼「国際物品売買契約に関する国際連合条約(ウィーン売買条約)」
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/treaty/treaty169_5gai.html
本条約は、国際取引の促進を目的に、国連国際商取引法委員会(UNCITRAL)が起草し、1980年4月のウィーン外交会議において採択、1988年1月1日に発効した。
2008年1月現在で、70カ国が条約に締結しており、日本では、2009年8月1日より発効している。
こうした国々の企業との国際取引においては、国内法の強行規定や当事者間での特約等がない限り、ウィーン売買条約(CISG)が基本的に適用されると考えられる。
注意しておきたいポイントは4つ。
1. 自動的に適用される
両当事者が締約国に所在する場合は、自動的にウィーン売買条約が適用される。
当事者間の合意により、CISGの一部またはすべてを取引に適用しないことも可能。
2. 法人取引、物品の売買に限定される
個人向けの取引やサービス提供には適用されない
3. 契約解除の要件を重大な契約違反に限定している
日本の民法では、契約違反があって一定期間是正されない場合に、契約を解除できるが、CISGでは重大な違反(Fundamental Breach)に限定されている。
4. クレーム提起期間が2年
日本では最長6か月だが、CISGでは引き渡しから2年と買主に有利になっている。
契約品の不適合に関する買主の通知義務は「発見した時または発見すべきであった時から合理的な期間内」であり、日本の「受領後ただちに」と同義と考えられる。
CISGにより、契約書を締結しない取引や中小企業の国際取引なども、CISGが適用されることになり、国際的な標準によるクレーム処理や債権回収などのリスク管理が可能になった。
★この内容をより詳しく知りたい方はこちらから⇒「契約時にできるリスク管理」
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