日本では、担保=不動産
日本では担保といえば、不動産である。銀行融資の担保においては、特にこの傾向は顕著である。
したがって、与信管理では不動産登記簿を確認することが必須となっている。
最近でこそ、動産担保や債権担保の融資が散見されるようになったが、まだまだ日本政策投資銀行など政府系銀行が貸し手の中心で、中小企業支援の一環として行っている感が強い。
確かに、不動産などの資産を持たない中小企業にとって、在庫や設備を担保に融資を受けることができれば、資金繰りも楽になる。
海外では、担保=動産や債権
一方、海外では担保は必ずしも不動産ではない。
むしろ、動産や債権が中心である。これは、文化や商習慣の違いによるところが大きい。
日本では、不動産の価値は下がらないという不動産神話が今でも生きている。
実際、ここ数年は一部の地域を除き、不動産の価値は減少しているのだが、それでも日本人は不動産の価値を高く考える。
ところが、海外では必ずしもこうした不動産神話があるわけではない。
米国など国土が広い国では、不動産の価値は常に値上がりするとは限らない。また、狩猟民族の名残からか、住居を移動することにためらいがないため、賃貸派が圧倒的に多い。
確かに、アジアの一部の国で、特に国土が狭いところは日本と同じように不動産担保中心の国もある。
しかし、その他の国では、不動産の価値や市場が日本ほど定まっていないことが多い。
むしろ、債権とは主に売掛金であり、確実に回収されれば現金となるため、管理もしやすく、価値も高いとみられている。売掛金を管理する仕組みも発達している。
また、動産についても、中古市場や転売マーケットがあり、動産の価値を容易に算出することができる。
日本でも中古車市場などでは、マニュアルで簡易に算出できる。海外では車だけでなく、他の動産でもこのような状況なのである。
こうした状況により、海外の企業間取引で担保といえば、動産や債権が中心となっている。