#16 企業の資金繰りが見えてくる支払情報(Payment)

海外与信管理入門~これだけは知っておきたい海外与信管理36のポイント~

※提供は法人のみ

DBTIndustry DBT

 

Creditsafe(以下、CS)のレポートに記載されている支払情報にはDBTIndustry DBTがある。

DBTDays Beyond Termsの略で、遅延日数を示す。

Industry DBTは、業界の平均的な遅延日数を表しており、業界内において、当該企業がどの程度遅延しているのか比較できる。

またPayment Trendを見ることにより、遅延日数が改善しているのか、悪化しているのか傾向を見られる。

下記の情報が件数や金額で表示されるので、仕入先に対する支払いの概要を掴める。

  • Average Invoice Value(請求書の平均金額)
  • Invoices Available(請求書の件数)
  • Outstanding(未払い)
  • Paid(支払済み)

OutstandingPaidの内訳はグラフで記載されており、視覚的に支払状況がよいのか、悪いのか、直感的に判断できる。

表記 意味
Within Terms 期限内 濃緑
0-30 Days 30日以内の遅延
31-60 Days 60日以内の遅延 黄色
61-90 Days 90日以内の遅延
91+ Days 91日以上の遅延

詳細を知りたければ、レポートの最後に出てくる表を見ることで、具体的な件数もわかる。

 

支払情報は数字や金額が中心で、具体的な仕入先の業種や請求書別の遅延状況まではわからないようになっている。

詳細を記載しないのは、支払情報を提供する企業がCSに情報を提供しやすくするためである。

ご参考までにCSでは約7,000社の企業が支払情報を提供しており、年間約2億5千万件もの支払情報が集まっている。

 

支払情報は海外与信管理では重視される項目であり、企業によっては決算書よりも重視しているところさえある。

支払情報が決算書より優れている点は下記の2点である。

 

1. 情報が新しい

決算書が調査レポートに更新されるのには、時間がかかる。

たとえば、12月末決算の会社だとレポートに反映されるのは早くても3か月後、国によっては6か月以上かかることもある。

しかし支払情報は毎日更新しているので、調査対象企業の現在の資金繰りを知れる。

 

2. 粉飾ができない

上場企業の決算書さえも、粉飾が大きな社会問題になることがある。

監査もしていない未上場企業の決算書の信憑性にはどうしても疑問が付きまとう。

一方支払情報は調査対象企業ではなく、その仕入先から情報を入手するため、改ざんのしようがない。

企業の真実の資金繰りを知れる。

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目次(一部抜粋)

  • 日本企業が陥りやすい海外取引の過ち
  • 海外与信管理では一般的な商習慣、信用照会
  • 海外取引先の分析~5C's of Credit~
  • 海外取引における危険な兆候
  • 外国人弁護士起用の注意点
  • 海外の取引先が倒産したら

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