海外取引先を過度に信頼する危険性
「取引先を調査しない」以外にも日本企業が陥りやすい過ちがある。
それは「取引相手を信頼しすぎてしまう」ことだ。
無論、相手を信頼しなければビジネスを行うことはできない。
しかし盲目的に信頼してしまうのは危険である。
これはとくに中小企業など経営者同士で、家族同士の交流など密接なつながりがある取引についていえることだ。
たとえば欧米では、取引相手を自宅に招くことが珍しくない。
ホームパーティーなども盛んである。
一方、日本では自宅に呼ぶのは仕事関係でも社内の人間が中心で、社外では本当に親しい取引先に限定される。
他は、接待ですませるのが通例だ。
ところが欧米では親密度に関わらず取引先を自宅に招く。
そうとは知らずに、自宅に招かれたことで、心を許してしまう日本人経営者が多い。
こうした安心感から、支払い遅延など断固とした対応を取らなければならない取引先に対しても、甘い対応をずるずると取ってしまうことがある。
これが致命傷になる。
遅延債権の回収では、早い段階で手を打つことが大切である。
出遅れると、それだけ回収率も下がる。
イザというとき私情に捉われずに迅速な対応がとれるよう、自宅に招かれるのは単なる接待程度に考えて、ビジネスはビジネスとして、取引先と割り切った付き合いをすることが必要である。