債務者のタイプと債権回収リスク
私は自分の経験から債務者を6つのタイプに分類している。
下に行くほどリスクが高く、債権回収も難航する。
- 怠慢型
- 引き延し型
- 交渉型
- 責任転嫁型
- 強制型
- 居直り型
1. 怠慢型
名前の通り単なる怠慢のため、支払遅延させる会社を指す。
社内管理が適切に行われていない会社で、アジア系企業に良くみられる。
このタイプの債務者に対しては、こちらが適切な与信管理を行うことで問題なく回収できることが多い。
2. 引き延し型
あれこれと理由を付けて、支払を一日でも遅らせようとする債務者。
「怠慢型」との大きな違いは、遅延が意図的である点だ。
債権者を怒らせずに一日でも支払を遅らせるのが、経理部の仕事という会社は海外に多く存在する。
このタイプには、毅然とした態度で遅延に対して対処することが必要である。
3. 交渉型
支払いを遅延しておきながら、交渉することで自社に有利な条件を引き出してから、支払いをしようとするタイプである。
有利な条件とは、値引き、支払の引き延し、分割での支払いなどである。
契約書の未締結や不備など債権者に問題があることも多く、契約段階で支払遅延に対する損害賠償などの取り決めをすることで防止できることが多い。
4. 責任転嫁型
未払いの責任を債権者に転嫁するタイプ。
具体的には、未払いの理由を製品の品質に対するクレームにすり替えてしまう。
通常のクレームであれば、製品受領時に発生するはずだが、支払の時期になってクレームが起きること自体、言いがかりの感がぬぐえない。
支払能力のあるこのタイプには訴訟も辞さない構えで徹底的に争う。
支払能力がない場合は、クレームは単なる言い訳で、債務免除などが真の理由であることが多い。
5. 強制型
強制的に働きかけないと支払わない債務者。
強制的とは、訴訟を起こされる、敗訴する、強制執行されそうになるなどを指す。
相手の出方を見て本気であれば、交渉に応じようとする。
これも支払能力の有無を見極めて、資産があるようであれば、早期に確定判決が得られるように法的手続きを進める。
資産がない場合は、分割払いや債務免除などに応じることで、債権の何割かでも回収するようにする。
6. 居直り型
支払能力がなく、支払意志もない債務者であり、手に負えない。
こうしたタイプは、あきらめるしかない。
仮に訴訟すれば、勝訴するかもしれないが、強制執行を掛ける財産がないのだから、意味がない。
無税償却のための情報や資料集めに時間を割いた方がいいだろう。
忘れないでいただきたいのは、最初から強制型や居直り型の債務者はいないということだ。
遅延期間が長期化するにつれて、経営状態や財政状態が悪化して、このようなタイプの債務者に変質するのである。
債務者のタイプ分けからも、早期に回収することの重要性が改めてわかる。