海外取引において、きちんと契約書を交わしているか
日本企業が陥りやすい海外取引の過ちは、「契約書を交わさずに取引を始めてしまう」ことである。
これは文化や商習慣とも関わるが、性善説というか、相手を基本的に信用しているので、口約束でもビジネスを行う傾向がある。
無論ビジネスがうまくいっている間は、口約束でも問題ないだろう。
問題は支払遅延などの問題が浮上してきた場合である。
契約はOffer(申し込み)とAcceptance(承諾)で成立するし、書面である必要もない。
しかし問題が生じたときには、契約書がある場合と比べて、口約束や電子メールだけでは、支払い遅延などの問題発生時におけるペナルティなどの決まりごとがない。
電子メールでの注文に請求書を発行し、製品の受領書があれば当然、契約の存在を証明できるが、当事者があらかじめ取引から派生するさまざまな問題点の対処法を話し合い、合意をして署名をした契約書に勝るものではない。
相手方もこうした点を見越して、支払遅延をしてくる可能性もある。
債務者にとっては、債権者の優先順位が必ず存在し、概して海外の債権者は後回しにされがちである。
さらに契約書がなければ、優先順位は下がることがあっても、上がることはないはずだ。
「今まで、契約書なしでも問題がなかったから大丈夫。」と主張をする企業もあるが、それはあくまで過去のことであり、未来の取引の安全を担保するものではない。
海外企業との取引に際しては、基本契約書は必ず交わしておきたい。